設立登記で終わり?まだまだある必要な手続きとは?(社会保険編)
定款の作成など登記の手続きが無事に終了!「さあ、本腰を入れて事業に取り組める」と思っている方、会社の設立時の作業は登記だけではありませんよ。
実は登記が終わったあとにも開業までに行わなければならない役所への届け出があります。
今回は会社設立後から開業までに必要な手続きのうち、社会保険に限って紹介します。
目 次
法人を設立したら必要な手続き
法人を設立したら、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するための手続きをしなければなりません。
「誰も従業員を雇っていないから、社会保険へは加入しなくて良いのではないか?」と思われる方もいるかもしれませんが、社長ひとりでも社会保険への加入が義務づけられています。
この点、個人事業主の場合には、そもそも社会保険加入が義務づけられない業種(クリーニング業、飲食店、ビル清掃業等のサービス業や農業、漁業等)もありますが、基本的に従業員が4人以下の事業所なら社会保険への加入が義務づけられないので、法人とは取扱いが異なります。
ただし、任意で加入することもできます。
特に、これまで個人事業として事業経営されていた方が法人成りすると、忘れがちになるケースが多いのですが、自分一人のためであっても社会保険への加入手続きが必要になってしまう点に留意が必要です。
従業員を雇用したとき必要な手続き
正社員、パート、アルバイトと、会社によっては1日または1週間の労働時間および1ヶ月の所定労働日数が異なる形ごとに従業員の呼び名が変わりますが、社会保険・労働保険の手続きも、雇用形態で、従業員が準備する書類、届出書類、提出する役所が違い、とても煩雑です。
正社員などを雇用したとき
正社員については全ての労働者が加入対象になります。
パート、アルバイトについては、1日または1週間の労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上の場合、加入対象になります。
たとえば、正社員の労働時間が1日8時間の週5日とすると、週40時間労働になります。
この4分の3以上なので、週30時間以上働く方はパート、アルバイトであっても社会保険の加入対象となります。
※ただし、従業員501人以上の会社に限り平成28年10月から加入対象が変わっています。
平成28年10月からは、従業員501人以上の会社については週30時間から週20時間へと加入条件が拡大されています。
さらに、平成29年4月からは、従業員が500人以下の会社で働く方も、労使で合意すれば、会社単位で社会保険に加入できるようになりました。
対象となっている会社で働くパート、アルバイトの方はご注意ください。
パート社員(週20時間未満)を雇用したとき
週40時間勤務の会社で、週20時間未満のパート、アルバイトについては、現在のところ、加入の対象にはなりません。
ただし、短時間労働者を取り巻く労働法は改正が続いていますので、注意が必要です。
臨時社員などを雇用したとき
正社員、パート、アルバイトと呼ばれる従業員以外の臨時の従業員などの継続して雇用される事が前提の方も社会保険加入の対象となったり、ならなかったりしますので注意が必要です。以下には、対象とならない例をあげます。
- 契約期間が2ヶ月以内の臨時の従業員
2ヶ月を超えて働くことが決まった場合は、加入の対象となります。
- 日雇い労働者
ただし、継続して1ヶ月以上働くことが決まった場合は、1ヶ月を超えた翌日から加入できます。 - 4ヶ月以内の期間で雇われる季節労働者(除雪、茶摘み、漁獲期の漁業など)
4ヵ月以上継続して雇用することが決まっている場合は加入の対象になります。
- 一定期間で終了することが決まっているような臨時的な事業所で働く人(建設現場やイベント会場など)
6ヶ月以上継続して雇用することが決まっている場合は加入の対象になります。
最後に
以上、かいつまんで社会保険に関して手続きをまとめてみました。お役に立てたでしょうか?
また、実際には役所に書類の提出などの実務がありますが、それは次節以降に掲載します。
創業時・設立時には、専門知識が必要不可欠で一人でできないことはないものの、始めて知る法律や煩雑さが伴う届出手続きが必要なもの。わからない点やわかりにくいことはお気軽にお問い合わせください。メールでの初期のお問い合わせは無料です!!
事業者、労働者を取り巻く労働法は絶えず改正が続いております。チェックを怠ると気付いたら労働法違反をしていた…となってしまうことも。ぜひ気を付けながら、会社を運営していきましょう。