設立登記で終わり?まだまだある必要な手続きとは?(労働保険編)

前回は会社設立後から開業までに必要な手続きのうち、社会保険に限って紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
今回は、労働保険編(労災保険・雇用保険)を紹介します。

労働保険は、正社員・パートタイマー・アルバイトなど雇用形態を問わず、従業員を1人でも雇用すれば必要になります。
また、建設業などで多いのですが、代表者が一人親方の適用を受けたい(労災保険に特別加入したい)などの場合は、手続きが必要になります。

裏返せば、従業員を雇用しない、かつ、社長が一人親方の適用を受けないならば届出は不要です。

 

目 次

労災保険・雇用保険とは

 

労災保険」とは、雇用した労働者が業務上または通勤途中に災害に遭い、負傷・疾病、障害または死亡した場合に、労働者または家族に対する保護を目的とする保険です。
手続きは「労働基準監督署」で行います。

雇用保険」とは、週の労働時間が20時間を超える雇用契約を締結した労働者が、万が一失業した場合、また育児や介護で収入減の労働者への支援に備える保険です。
手続きは「公共職業安定所(ハローワーク)」で行います。

また、「労災保険」と「雇用保険」をまとめたものを「労働保険」と言い、この労働保険に加入する場合には、労働基準監督署または公共職業安定所に、「保険関係成立届」と「概算保険料申告書」と必要書類を提出しなければなりません。

 

一元適用事業と二元適用事業

 

ここがややこしいところなのですが、労働保険の保険給付は、労災保険、雇用保険と個別に行われますが、保険料の申告、納付は、両保険をまとめて取り扱われています。そこで、労働保険の手続きは、保険料の申告及び納付を異なる次元で区分して取扱いします。つまり、手続きに必要な書類の提出先や提出期限は、一元適用事業と二元適用事業とで異なりますので、以下にまとめてみます。

(ここでは、理解しやすいように、継続事業の場合のみ説明します。有期事業については、別の機会に掘り下げてご説明します。)

 

一元適用事業

一元適用事業とは、労災保険と雇用保険の両方を、ひとつの事業についての保険関係として取り扱い、保険料の申告・納付等を一元的に処理する事業です。二元適用事業以外の事業、つまり、たいていの事業が含まれます。

 

具体的な手続きは以下の通りです。

      • 保険関係成立届は保険関係が成立した日から10日以内に所轄の労働基準監督署に提出
      • 概算保険料申告書は保険関係が成立した日から50日以内に所轄の労働基準監督署、所轄の都道府県労働局、日本銀行のいずれかに提出
      • 雇用保険適用事業所設置届は設置した日から10日以内に所轄の公共職業安定所(ハローワーク)に提出
      • 雇用保険被保険者資格取得届は資格取得の事実があった日の翌月10日までにハローワークに提出

 

二元適用事業

 

二元適用事業とは、労災保険と雇用保険の適用労働者の範囲、適用方法に相違のある以下の事業です。

    • 都道府県および市町村の行う事業
    • 都道府県に準ずるものおよび市町村に準ずるものの行う事業
    • 六大港湾(東京港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港、関門港)における港湾運送の事業
    • 農林水産の事業
    • 建設の事業

 

二元適用事業は、労働保険に係る手続きとして、一元適用事業のように一元的に行うことができないため、労災保険と雇用保険それぞれの手続きをしなければなりません。手続きとしては以下の通りです。

a) 労災保険の手続き

        • 保険関係成立届は保険関係が成立した日から10日以内に所轄の労働基準監督署に提出
        • 概算保険料申告書は保険関係が成立した日から50日以内に所轄の労働基準監督署、所轄の都道府県労働局、日本銀行のいずれかに提出

b) 雇用保険の手続き

        • 保険関係成立届は保険関係が成立した日から10日以内に所轄のハローワークに提出
        • 概算保険料申告書は保険関係が成立した日から50日以内に所轄の都道府県労働局、日本銀行のいずれかに提出
        • 雇用保険適用事業所設置届は設置した日から10日以内に所轄のハローワークに提出する
        • 雇用保険被保険者資格取得届は資格取得の事実があった日の翌月10日までに所轄のハローワークに提出

 

 

まとめ

 

以上、労働保険に関して手続きをまとめてみました。少しややこしかったかもしれませんが、お役に立てたでしょうか?

「保険関係成立届」の罰則はかなり厳しくなっています

労働保険にかかわる届け出を怠っていた事業主には、罰則が設けられています。自主的に成立手続きを行わない場合、行政庁の職権による成立手続きおよび労働保険料の認定決定を行うことになり、さかのぼっての保険料徴収に加え、追徴金が徴収されます

また、重大な過失による場合は労災保険給付に要した費用の全額、または一部の徴収が行われるため、注意が必要です。

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